姿勢不良や慢性痛ではほとんどの確率で身体のどこかしらの筋肉が硬くなっている、伸ばされた状態、うまく使えていない状態になっていることが多いです。例えば、反り腰の人は背中の筋肉が硬くなっている、そして腹筋が上手く使えていない。猫背ならば腹筋は固くなっている、背中の筋肉は上手く使えていないというようなケースが多いです。
姿勢改善でもどこかしらの筋肉にターゲットを置いてトレーニングを行いますが、なぜその筋肉を鍛える必要があるのか、ストレッチを行うのならなぜこの筋肉を伸ばす必要があるのかを理解しておくだけでもトレーニング・ストレッチの質は全然変わってきます。
ただ、固くなっているから伸ばす、使えていないから使うという認識からしっかり明確な理由を持ってトレーニング・ストレッチができるように今回から数回にわたって身体の筋肉についてご紹介していきます。
皆さんが知っている筋肉もあれば初めて聞く名前の筋肉もあるはずです。そして肩こりや寝違えた時に主な原因となっている筋肉などもこれからのコラムで紹介していくのでぜひ今後のトレーニングやストレッチなどにも参考にしてもらえると嬉しいです。
姿勢不良と慢性痛:上半身の筋
大胸筋の解剖
大胸筋は鎖骨部・胸肋部・腹部と3つの筋腹に分かれています。
鎖骨部は鎖骨内側1/2仮面、
胸肋部は第1〜6肋骨と肋軟骨、
腹部は腹直筋鞘前葉外側面から上腕骨大結節稜に付着しています。
つまり、起始部はそれぞれ違いますが、停止部はすべての線維が同じ箇所についています。
作用としては、肩関節屈曲・内転・内旋・水平内転です。
姿勢との関連性としてはこの筋肉が硬くなってしまうと肩関節が内旋し猫背のような姿勢不良になってしまいます。
そして、意外と知られていないのが停止部には一つ大きな特徴があります。それは停止部には捩れて付着しています。上腕骨大結節稜に付着しているがその中でも鎖骨部は少し下、胸肋部は変わらず、腹部は少し上に付着している形となります。このねじれは、肩関節外転を行うにつれ解けていきます。学生時代に机で手を前について寝ている人を見かけたことがあったり自分もしていたという人は多いと思いますが実はあの姿勢というのは大胸筋の停止部がほどけていて楽な姿勢であるということが言えますし、我々は無意識化の中でその姿勢を自ずととっていたことになります。
さらに、大胸筋は努力吸気です。よりたくさんの空気を吸い肺を拡張させるために胸郭を広げより多くの吸気を行えるようにします。
筋連結としては、上腕二頭筋そして橈骨側へとつながっていきそして母子の方へと連結します。(屈筋群)手首を屈曲させた際に痛みがある人は大胸筋をリリース・ストレッチしてあげると筋連結の部分から改善できる可能性があります。また、三角筋の前部線維とも連結しています。
大胸筋の作用で内旋があり、肩甲挙筋も同じく内旋作用を持っていますが実は異なる動きをします。肩甲挙筋は求心性を保ちながらその場で内旋動作が行われるのに対して大胸筋は上腕骨頭が前方へ突出するように内旋動作が行われます。
鎖骨下筋の解剖
鎖骨下筋は第1肋骨の胸骨端上前面に起始し鎖骨下面の外側に停止します。
作用は主に鎖骨の挙上であったり鎖骨の安定化に作用します。(特に胸鎖関節)
実は肩こりとも関係しており、僧帽筋が拘縮すると鎖骨は上へと引っ張られる為、鎖骨下筋は硬すぎても柔らかすぎてもいけないです。また、胸が大きい人は垂れないように常に鎖骨下筋が上に引っ張っている為、伸張ストレスがかかっています。その結果、鎖骨の可動性が悪くなり肩こりや首こりにつながります。
副交感神経とも関係しており、鎖骨下筋を支配している神経は鎖骨下神経です。この神経は横隔神経と隣接しています。横隔神経は横隔膜を支配しており副交感神経を司っています。つまりこの神経と隣接している鎖骨下神経や鎖骨下筋が拘縮すると交感神経優位になりやすくなってしまいます。なので適度なリリースを加えて活性化を行うことで自律神経をコントロールすることができます。
肩甲挙筋の解剖
肩甲挙筋は第1頚椎〜第4頚椎横突起の後結節に起始し肩甲骨の上角、内側縁上部に停止します。
作用としては、肩甲骨の挙上、下方回旋を持ち合わせています。
人生で一度は誰しも寝違えをした経験があるかと思いますが、実はその寝違えた時に起こってくる痛みに原因が肩甲挙筋であることが多く寝違え筋とも表現されたりもします。
位置関係では側面には胸鎖乳突筋、後ろには頭板状筋、そしてその上に僧帽筋の上部が覆っています。
この筋肉はある内臓と関係していると言われています。その内臓が「肝臓」です。肝臓の筋膜を支配しているのが鎖骨下筋でも紹介した横隔神経です。横隔神経と肩甲挙筋は隣接しており肝臓の状態が悪いと肩甲挙筋が拘縮し肩こりにつながる可能性があります。これは当然、逆のことも言えるので肩甲挙筋が拘縮すると肝臓の状態も悪くなる可能性があります。
肝臓が原因で起きてくる肩こりの特徴としては、主に朝方の肩こりです。寝ている間に体液の循環が悪くなりそれが原因で起きた時に肩こりが起きている人はもしかすると肝臓の状態が悪いのかもしれません。また、10分、15分で症状が緩んでくるのは体液の循環が行われるようになったからと考えることができます。
姿勢不良と慢性痛:下半身の筋
大腿四頭筋の解剖
大腿四頭筋は大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋の4つ合わせた総称になります。
大腿直筋の起始は下前腸骨棘(骨盤)、寛骨臼(骨盤)の上縁に付着し脛骨粗面(脛骨)に停止します。
中間広筋の起始は大腿骨前面上部3/4に付着し脛骨粗面に停止します。
内側広筋の起始は大腿骨内側面粗線内側唇に付着し脛骨粗面に停止します。
外側広筋の起始は大腿骨外側面粗線外側唇に付着し脛骨粗面に停止します。
作用としては、股関節の屈曲、膝関節の伸展を持ち合わせています。
この筋肉は4つ合わせると全筋肉の中で体積が最大となります。使われる時は足で急ブレーキをかけた時や上にジャンプする時の床を押す時に使われます。
よく四頭筋が固くなっていると反り腰になってしまうと言われますが、厳密には大腿直筋の影響で腰を反ってしまっている事が原因です。というのも、大腿直筋のみが骨盤に付着しておりその他の3筋は全て大腿骨に付着しているからです。そして股関節の屈曲作用は大腿直筋のみが持っている作用になります。
内側広筋と外側広筋の膝蓋骨(膝のお皿)の相関としては、内側広筋と外側広筋は膝蓋骨を挟み込むような形で付着しています。その事から内側広筋は内側へ、外側広筋は外側へと膝蓋骨を引っ込もうとします。そして、基本的には外側広筋の方が力が強いです。理由としては、筋肉の大きさもありますが外側広筋の周囲には臀筋があるからです。膝下O脚になっている人はこの力関係が関係していますし、多くの人は膝蓋骨は外側へとズレている人が多いのもこれが理由です。
内側広筋は膝の完全伸展で使われると言われています。なので膝に痛みがある人はもしかすると内側広筋の筋力であったり筋発揮が原因かもしれません。
大腿筋膜張筋の解剖
大腿筋膜張筋は前ももの張りで真っ先に挙げられる筋肉です。
起始は上前腸骨棘そして停止部は脛骨外側顆に付着しています。
作用としては、股関節外転・屈曲・内旋を持ち合わせています。
大腿筋膜張筋の先には腸脛靱帯へと移行します。
股関節の内旋作用を持っている筋肉は大腿筋膜張筋、小臀筋、中臀筋前部線維の3つのみになりレアな作用となります。
腸脛靱帯及び大腿筋膜張筋は中臀筋・大臀筋と連結する為、臀筋が拘縮すると大腿筋膜張筋も拘縮してしまいます。そして、外側広筋の上に腸脛靱帯が重っており外側広筋自体は外転の作用は持っていないものの大腿筋膜張筋、腸脛靱帯と強く付着している為拘縮すると一緒に外側へと引っ張られます。
※O脚の人は外側広筋はリリース対象になります。これは、O脚・膝下O脚ともに共通です。
歩行時にはガニ股にならないように股関節を内旋させつつ、つま先を前に向けてくれる役割があります。
下腿三頭筋の解剖
下腿三頭筋は、腓腹筋とヒラメ筋の合わせた総称をいいます。腓腹筋には筋腹が2つあり内側と外側に分けられます。その為、腓腹筋の内側と外側、そしてヒラメ筋を合わせて下腿三頭筋です。
腓腹筋の起始は大腿骨内側上顆(内側)、大腿骨外側上顆(外側)に付着し踵骨隆起に停止します。
ヒラメ筋の起始はヒラメ筋腱弓、腓骨頭に付着し踵骨隆起に停止します。
踵骨隆起は踵の裏側になり腓腹筋・ヒラメ筋ともに同じ箇所に停止部を持っています。
作用としては足関節底屈を持っています。
下腿三頭筋の特徴としては、使われる際には筋の長さ自体は変わっていないと言われています。これらの筋肉が使われる時というのは主にバネのような動きをしている時になりますが、この際筋繊維の伸張収縮というより筋腱移行部が最も伸張収縮されています。
下半身のむくみでよく挙げられる筋肉ですが、この理由としては心臓から最も遠く真下にある為、血流を押し戻す力が強い必要があります。リンパの流れが悪くなっているいう人も中にはいますが、そのリンパを流すのも筋肉の収縮・弛緩によって一緒に流される形となります。むくみの原因としては運動不足や下肢の可動域不足が考えられます。また、膝の裏には大きなリンパ節がありそこに集まり溜まってくる為しっかりほぐす事が大事です。
姿勢改善:インナーの筋
ローテーターカフ(回旋筋腱板)の解剖
ローテーターカフとは肩関節のインナーの筋肉であり、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉から構成されています。
棘上筋の起始は棘上窩に付着し上腕骨大結節上部に停止します。
棘下筋の起始は棘下窩に付着し上腕骨大結節中部に停止します。
小円筋の起始は肩甲骨外側縁、下角に付着し上腕骨大結節下部に停止します。
肩甲下筋の起始は肩甲下窩に不付着し上腕骨小結節に停止します。
作用としては主に肩甲骨の安定化に関与します。棘上筋は肩関節外転とわずかな外旋、棘下筋・小円筋は肩関節外旋、(小円筋はわずかに内転も含む)肩甲下筋は肩関節内旋に作用します。また、棘下筋と小円筋は同じ外旋作用でも使われるポジションが違います。棘下筋では肩関節の1st position、小円筋は2nd,3rd positionでの外旋動作がメインになってきます。
これらの筋肉は別々モノと捉えられがちですが深層線維で密接に連結しています。また、小円筋は上腕三頭筋、棘下筋は菱形筋とも連結しています。
4筋の中で最も棘上筋が損傷しやすいとされており専門用語になりますが肩関節インピンジメントを起こす筋肉になります。次に棘下筋です。この筋肉は強い内旋動作が加わると伸張ストレスが加わります。(スポーツで言うと野球の投球)
小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭の3つが交差するスペースのことを「四辺形間隙」と言います。この中を腋窩神経が通過している為これらの筋肉が拘縮すると骨頭を前方へ押し込み肩関節の可動性低下、内旋動作では肩甲下筋ではなく大胸筋などのアウターの筋肉が働いてしまいます。
肩甲下筋は実は1〜5本の繊維に分かれて走行していると言われています。肩関節の安定性に重要ではあるものの可動域の制限因子にもなり得る筋肉です。烏口腕筋・上腕三頭筋短頭・烏口上腕靱帯とも連結しています。
深層外旋六筋の解剖
深層外旋六筋は股関節のインナーの筋肉です。
お尻の筋肉の奥についていて6つの筋肉からなっています。
梨状筋の起始は仙骨前面下部1/2に付着し大転子に停止します。
上双子筋の起始は鎖骨棘に付着し転子下に停止します。
内閉鎖筋の起始は閉鎖孔に付着し転子下に停止します。
外閉鎖筋の起始は閉鎖膜に付着し転子下に停止します。
下双子筋の起始は坐骨結節後面上部に付着し転子下に停止します。
大腿方形筋の起始は坐骨結節前面下部に付着し転子間稜に停止します。
上から梨状筋、上双子筋、内閉鎖筋・外閉鎖筋、下双子筋、大腿方形筋の順番に付着しています。
作用としては外旋筋の為、6筋全て外旋動作に作用します。ただ、梨状筋のみ股関節60度以降では内旋作用に変わります。
下肢の痺れの原因などでよく坐骨神経痛が上がります。この坐骨神経は主に梨状筋の中を通過したりするので梨状筋が伸張位で伸ばされてしまうと神経が絞扼してしまい痺れなどにつながっていると考えられています。
内転筋群を支配している神経が閉鎖神経になります。この神経と隣接しているのが内閉鎖筋になる為この筋肉が拘縮すると閉鎖神経も絞扼され結果内転筋群の機能低下にもつながってしまいます。
坐骨神経痛では梨状筋が主なアプローチの対象になりますが、実は大腿二頭筋長頭(ハムストリングス)もアプローチの対象になります。
腹横筋の解剖
腹横筋は腹部の筋肉の最も最深部にある筋肉です。
腹横筋の起始は第7〜12肋軟骨、胸腰筋膜、腸骨稜内側唇前2/3、鼠径靱帯外側1/3に付着し剣状突起、白線、坐骨結節に停止します。
作用としては、脊柱の安定化、肋骨下制です。
役割としては、脊柱の安定性を保つ役割があります。
呼吸動作で「ドローイン」という言葉を聞いた事があるかと思いますが、この時にメインで働くのが腹横筋です。働いているか確認する方法としては、腸骨稜(腰骨)から2横指内、指1本分下のポジションを触診し息を吐ききった時に盛り上がるとしっかり行えている証拠になります。吐いたと同時に盛り上がってしまった場合はアウターの筋肉(腹直筋など)が働いてしまっています。
腹横筋は、上は横隔膜、下は骨盤底筋群と挟まれています。その為、骨盤の過前傾や肋骨の外旋が起きていると腹圧が入らなくなります。
女性の人でウエスト細くしたいから腹筋を鍛えているという人は少なくないと思いますが、実は細くするなら腹横筋がとても重要になってきます。腹横筋は最深部にあるので基本的にはドローインでしか鍛えられません。ですが、この筋肉を鍛えれば鍛えるほとど内側へと収縮する為、結果ウエストを細くすることにつながります。
腹横筋が機能低下するとぽっこりお腹になってしまいます。これは脂肪ではなく内臓が前に押し出される形となっています。20代や30代の女性の人でぽっこりお腹が気になる、出産後お腹が引っ込まないという人はおそらく腹横筋の機能低下が見受けられます。
そして、何よりも腹横筋は運動する際に一番最初に働く筋肉です。
以上、今回は9個(細かくは21個)の筋肉をご紹介しました。
聞いた事がある筋肉もあれば初めて聞く筋肉もあったかと思いますが、このコラムを読んで自身のボディメイクや姿勢改善トレーニングに役立ててもらえたら嬉しいです。
まとめ
personal gym idéal”イデアル”は姿勢改善をメインとしたパーソナルジムです。
反り腰や猫背などの姿勢でお悩みの人、SNSの動画を見て行ったけどイマイチわからない、もしくは自分で姿勢を正しながら日常生活を送っていたけどかえって腰が痛くなったなど自分一人では改善するのが難しい人にはとてもおすすめのジムです。
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このコラムを書いた人
神戸駅のパーソナルトレーニングジム・イデアル代表 奥出大智

経歴
- 2023年4月〜半年間、大手トレーナースクールにてトレーニング指導及びトレーナーに関する知識を習得。
- 2023年11月~某パーソナルジムにて業務委託契約、月100セッション以上、顧客40名以上を管理。
- 2025年4月独立自身のパーソナルジムをオープン。
所有資格
- NESTA-PFT
メッセージ
出身は、忍者で有名な三重県伊賀市です。
小学1年生~大学卒業までの16年間サッカーをしていました。トレーニングを始めたきっかけもサッカーで当たり負けしない体をつくる為です。
筋トレはやればやった分だけ自分にかえってくる最高の自己投資です。僕自身トレーニングをしてから周りからの見え方が変わったり自分自身も性格が明るくなったと実感しています。僕と同じような思いを他の人にもしてもらいたいと思ったりもしますが、一番はいつまでも健康的な体でいてほしいという思いが強いです。
また、自分磨きという部分においてもトレーニングは最高の選択肢だと思っています。
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